心臓の病気 高血圧が原因の合併症

心臓の病気

心臓の病気 ( 心疾患 ) は、悪性新生物 ( がん ) 、脳血管疾患 ( 脳卒中 ) と並ぶ日本人の三大死因のひとつです。

平成27年の全ての死亡者のうち、心疾患(高血圧症を除く)が原因で死亡した人の割合は15.2%で、日本人の6~7人に1人は心臓病で亡くなっていることになります。

心臓の病気 高血圧が原因の合併症
心臓の病気 高血圧が原因の合併症

日本人の死因第 2 位を占める 心臓の病気

欧米では、以前から 心臓病 による死亡がたいへん多かったのですが、日本では多くありませんでした。

しかし最近では、食生活の欧米化に伴って日本人にも 心臓病 がふえ、1985年からついに死因の第 2 位を占めるようになりました。心臓病の中でも最も多いのが狭心症と心筋棟塞です。高血圧が原因で起こる心肥大も、これらと並んで心不全の原因となることがあります。

心臓の壁が厚くなり心 不全 になりやすい 「 心肥大 」

高血圧が長くつづくと、心臓に負担がかかってくるため、一種の防御反応として心臓の筋肉の壁が厚くなります。これが 心肥大 です。特に血液を全身に送り出している左心室が肥大しやすく、これを 左室肥大 といいます。

肥大した心筋は長い間にくたびれて弱くなり、心臓のポンプ機能が果たせなくなります。これが心不全で、十分に血液を送り出せなくなるために心臓に血液がたまり、ひどくなると、 肺水腫 といって肺のほうまで血液があふれ出ることになります。血圧の上昇が著しい場合、心不全は短期間で起きることもあります。

心不全 になると、初めのうちは動悸や息切れが起こる程度ですが、だんだん呼きぎ吸困難が強くなり、 起坐呼吸 といって寝ているときに苦しくてすわっていないと呼吸ができなくなったり、夜間呼吸困難に陥ります。 肺水腫 になると、血疾や水泡が出てきて、呼吸不全で死亡することもあります。

このような人の多くは 心筋梗塞 を合併しています。 心肥大 があるかどうかは、心電図で調べますが、正確に診断するには超音波検査で心筋の厚さを測る必要があります。

心肥大 では原因を突き止めることが大事ですが、高血圧が長くつづいているために起こった 心肥大 だと診断されたときは、 β遮断薬 ACE ( アンジオテンシン変換酵素 )  阻害薬などの 降圧薬 を用います。

胸が締めつけられるような痛みに襲われる 「 狭心症 」

心臓を養う冠動脈の内壁が、 動脈硬化 や筋肉の異常な収縮によって狭められると、心臓へ行く血液が足りなくなります。そのために起こる病気を 虚血性心疾患 といい、 狭心症 と 心筋梗塞 があります。

狭心症 は血流のとだえが部分的かつ一時的に起こった状態で、 心筋梗塞 は完全にとだえた状態です。 狭心症 には、発作が運動したときや興奪したときに起こる 労作狭心症 と、安静にしているときに起こる 安静狭心症 がありますが、たちの悪いのは 安静狭心症です。

これは、 心筋梗塞 の前段階なので、安静時に発作に襲われることがあったら、医師の厳重な管理が必要です。 狭心症 の発作は胸が締めつけられたり圧迫されたりするような痛みがほとんどですが、胸がやけるように熱くなったり、もやもやすると感じる人もいます。

痛む場所は胸全体のほか、左胸に限られることも多く、右胸だけ、あるいは左右から胸が圧迫されることもあります。発作の強い場合は、胸から左肩、左腕へと放散する痛みがあり、ときには右側への放散痛や両側への放散痛が起こることもあります。

発作のつづく時間はふつう数分ですが、 安静狭心症 だと10分以上つづくこともあります。 高血圧 は 動脈硬化 を侃進させるだけでなく、心臓への負担を増し、 狭心症 の危険因子の 1 つとなります。

そのほか、 肥満 高脂血症 糖尿病 喫煙 ストレス も、 狭心症 の危険因子です。 狭心症 かどうかは、本人の自覚症状と心電図、冠動脈造影などによって診断されます。

心電図は、大半の人が発作のないときは正常で、発作のあるときだけT波が陰転したり(盛り上がった波になるはずのものが逆の形の波になる)、 ST が下降します

したがって、一定の運動をさせてから心電図をとる運動負荷心電図が必要です。

発作が起きたら、すぐ ニトログリセリン か、亜硝酸薬のISDN( イソソルビド・ダイナイトレイト )を舌下に入れてとかすとおさまります。

しかし、狭心症は発作の予防が大事なので、カルシウム桔抗薬(ジルチアゼム、ニフェジピンなど) β遮断薬( プロプラノロール ピンドロール など )、亜硝酸薬などの薬が使われます。

亜硝酸薬は発作の応急処置だけでなく、予防にも大量投与され、胸にはるテープ状の薬(はり薬)も使われます。薬だけでコントロールできないときは、経皮経管的冠動脈形成手術(狭窄部位をカテーテルの先につけたバルーンでふくらませる)や冠動脈のバイパス手術を行うこともあります。、また、日常生活では危険因子を避けることが大事です。

心筋の組織が死んでしまう 「 心筋梗塞 」

心筋への血流がとだえた状態が長時間つづくと、心筋の組織が死んでしまいます。これが 心筋梗塞 で、発作の胸痛もはげしく、呼吸困難も起こり、症状が30分以上つづきます。

ニトログリセリン や ISDN も効果がなく、至急、病院、とりわけ CCU や ICU( 集中治蓉室 ) のある病院へ運ぶことが必要です。

血清生化学検査をすると、 CPK ( クレアチニン・フォスフォキナーゼ )や GOT などの値が高く、心電図も ST の上昇や異常なQ波が出るなど、変化します。

心不全 や 不整脈 を合併すると死に結びつくこともありますが、 CCU の普及で生命をとりとめることが多くなりました。発作後1週間たっても合併症のない場合はリハビリテーションを開始しますが、1年以内に再発しやすいので、β遮断薬や血小板凝集抑制案などの薬を用いるとともに、 狭心症 のとき以上に危険因子を避ける生活をすることが大事です。

クモ膜下出血 脳動脈硬化症 脳血管性痴呆 高血圧が原因の合併症

クモ膜下出血 脳動脈硬化症 脳血管性痴呆

クモ膜下出血 脳動脈硬化症 脳血管性痴呆 高血圧が原因の合併症 です。 クモ膜下出血 は、脳を覆っている組織(髄膜)の内側層(軟膜)と中間層(クモ膜)との間にあるすき間(クモ膜下腔)への出血です。 最も多い原因は、動脈のこぶ(動脈瘤)の破裂です。

脳動脈痛が破裂して起こる「 クモ膜下出血 」

脳や脊髄を包む 髄膜 は 硬膜 クモ膜 軟膜 という三層の膜からなっています。クモ膜 と軟膜の間を クモ膜下腔 といいます。

クモ膜下出血 とは、このクモ膜下腔に出血する痛気で、脳動脈痛という一種のこぶの破裂や、脳動静脈奇形などによって起こります。

奇形からの出血は20〜40歳に多く、高血圧とは関係ありませんが、40〜60歳に多い脳動脈癌の破裂は、高血圧が引きがねになります。

脳卒中全体の 10 % ぐらいが クモ膜下出血 です。

突然、はげしい頭痛、特に後頭部の頭痛が起こり、くびが硬直して足が突っ張り、吐きけや嘔吐も伴います。重い場合は発作後間もなく死亡することもありますが、出血した動脈癌に金属のクリップをかける手術により、完全に再発を抑えられることもあります。

手術のできない場合は、鎮痛薬、止血薬 降圧薬 脳圧降下薬 などを用いますが、内科療法だけでは再出血することもあります。

頭痛 めまい 耳鳴り など、多彩な症状が起こる 「 脳動脈硬化症 」

脳動脈硬化のために 頭痛 頭重 めまい 立ちくらみ 耳鳴り 手足の冷えやしびれ、肩こり 不眠 物忘れ など、多彩な症状が起こる病気です。

高齢で 高血圧 の人に多く起こるものの、血圧が高くなくても起こる場合があります。糖尿痛も脳動脈硬化を促進させます。

血圧のコントロールが大事なので、 降圧薬 を使うことが多いのですが、ほかにふかつも 脳循環改善薬 や 脳代謝賦括薬 を使ったり、症状をとり去るために対症療法を行ったりします。

対症療法ではこれらの薬のほかに漢方薬も用いられ、効果が認められることがあります。

脳動脈硬化のせいで物忘れがひどくなる 「 脳血管性痴呆 」

脳動脈硬化によって痴呆が起こる病気です。老化とともに起こる痴呆の中には、いろいろのタイプがありますが、日本人に多いのはこの 脳血管性痴呆 で、多くは脳卒中 の後遺症として起こります。50〜60代で始まることが多く、記憶力障害、つまり物忘れを中心とした痴呆です。

物忘れの中でも、最近のできごとはよく忘れるのに、計算力は確かなことが多いなど、どこかちぐはぐな印象があります。

物忘れだけでなく、鬱状態になり、気分が落ち込んでしまうこともあります。また、 片マヒ や ケイレン などを伴うこともあります。人格は初めのうちは保たれていますが、末期には崩壊します。治療には 脳血管拡張薬 脳代謝賦活薬 抗ウツ薬 向精神病薬 などを用います。

脳梗塞 一過性脳虚血性発作 高血圧が原因の合併症

脳梗塞 一過性脳虚血性発作 高血圧が原因の合併症

脳梗塞 一過性脳虚血性発作 高血圧が原因の合併症 です。脳梗塞とは脳の血管が突然つまって血流が途絶え、脳の細胞が死んでしまう病気です。 早期に適切な治療を受けないと後遺症をきたしたり、死亡してしまう可能性があります。

脳の血流障害で起こる 「 脳梗塞 」

脳梗塞 とは、脳内の動脈が詰まって血流がとだえてしまう病気で、 脳血栓 と 脳塞栓 という2つの病気があります。このうち 脳塞栓 は、心臓病などによって心臓にできた血栓(血のかたまり)がはがれて脳に運ばれ、動脈をふさいでしまう病気で、高血圧や動脈硬化とは関係ありません。

ここでは 脳血栓 についてだけ説明します。 脳血栓 とは、動脈硬化によって狭くなっている脳内の血管に、血栓ができて血流が阻害され、そこから先の組織が酸素不足、栄養不足になる病気です。

血栓は動脈硬化の起こっている部分でできる場合と、ほかでできたものが流れてきて詰まる場合があります。血流阻害の起こる場所によって、症状も違ってきますが、だいたいは突然の発作で始まります。睡眠中などに発作が起こりやすく、意識は失わないことが多いのですが、失うこともあります。

一般には片マヒを起こし、中には右手だけのマヒや左足だけのマヒなど単マヒが出ることもあります。

また、 言語障害 が起きたり、視野の一部が欠けることがあります。小さな血流阻害がたくさんできると、手が不器用になったり言葉がもつれるなど、脳の全体的な機能が少しずつ衰えていきます。

血流阻害が長くつづいていると、脳の組織が死んでとけ、脳軟化という状態になります。

CT検査や脳動脈撮影を行うと、どの部分に血流のとだえが起こっているかがわかります。

脳代謝賦活薬 、 脳圧降下薬 などによる治療を行いますが、血栓をとかす血栓溶解薬は出血を起こす危険があるので使いません。

著しい血圧の低下は、 脳梗塞 の場合はかえって血流不足を起こすことになるため、降圧治療は急性期には行わない場合が一般的です。

発作が急に起こり、24時間で消える 「 一過性脳虚血性発作 TIA 」

言葉が出なくなる、他人のいうことが理解できなくなる、片マヒや体の一部分の単マヒが起こる、力が抜けて持っていた物を落とすなどの発作が急に起こり、しかも24時間以内に症状が消えてしまう病気です。

動脈硬化 のあるところが一時的に血流阻害を起こした状態で、脳梗塞の前ぶれと考えられています。

このような発作が一度でも起こったら、必ず医師の診察を受けてください。発作を繰り返すときは、抗凝血薬 ( ヘパリン ) を注射したり、血小板凝集抑制薬 ( アスピリン チクロピジン など ) を用います。脳血管撮影などで手術が可能とわかったときは手術をすることもあります。