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高血圧の検査はこんな順番で行われる

高血圧の検査はこんな順番で行われる

高血圧の検査はこんな順番で行われる 高血圧の検査とはどういった段取りで行われるのでしょうか? どのようにして 高血圧 と診断されるのでしょうか?

高血圧の検査はこんな順番で行われる 大事な3つのポイント

高血圧が心配で痛院に行ったとき、病院ではどんな検査を行うのでしょうか。

高血圧の検査はこんな順番で行われる

高血圧の検査はこんな順番で行われる

まず、1番にあげられるのは、もちろん血圧値です。収縮期(最大)血圧180mmHG 以上、拡張期(最小)血圧115 mmHG 以上などの、かなり高い高血圧の場合は、ただちに精密検査をする必要があるからです。

もう1つは、原因は何か、ということです。高血圧のほとんどは 本態性高血圧 であるとはいっても、原因となる病気がないことを確かめない限り、 本態性高血圧 とはいえないからです。

3番目は、合併症(余病)があるかどうかということです。心臓や血管に合併症がある場合には、治療法も異なってきます。

以上の3つの大事なポイントを踏まえて、まず行われるのがス クリーニング検査 です。

スクリーニング検査 の中には、問診、診察(血圧測定、聴診、打診、触診、むくみの判定)、肥満の判定、尿検査(尿タンパクや尿沈査など)、血液検査(血算、血清生化学検査)、眼底検査、心電図検査、胸部Ⅹ 線検査があります。

スクリーニング とは「ふるい分け」との意味であり、高血圧ではないかと受診をしたすべての人に行われます。

これらの検査をしたうえで、ごく軽い 本態性高血圧 と診断が下されると、 割醤油 などを使った 減塩 などの食生活の制限や、喫煙、アルコール、運動など日常生活上の注意について、指導があります。

しかし、 本態性高血圧 でも、血圧がかなり高かったり、合併症が疑われるときは、どんな合併症なのか、合併症の重症度はどの程度なのかを知るために、さらにくわしい検査が必要になります。

また、何か痛気があるために 血圧 が高くなっているらしいと診断されたときも、それがどんな病気なのかを突き止めるために、くわしい検査が行われます。

問診 何才から血圧が高くなったか、血縁者に 高血圧 がいないかなど

最初に行われるのが、この間診です。問診では、まず、過去にかかった病気はないか(これを既往歴と呼ぶ)、現在何か病気にかかっていないか、診察前の血圧値はいくつだったのか、いつから血圧が高いとわかったのか、頭痛、動悸、めまい、しびれなどの自覚症状があるか、年齢は何オかなど(これらを現病歴と呼ぶ)が聞かれます。

問診で、いつから血圧が高いとわかったのかということと年齢が聞かれるのは、何歳ごろから血圧が高くなったのかということ(発症年齢)が、本態性高血圧なのか、それとも何か病気があって血圧の上がる二次性高血圧なのかを判断する、目安の1つになるからです。

本態性高血圧は、大半が30歳ごろから高くなり始め、50歳ごろに高血圧になるというパターンをとります。このことから、20代で高血圧になったり、あるいは50代ぐらいまでは何もなかったのに、60代、70代で高血圧になった場合には、二次性高血圧の可能性が高くなります。

頭痛 、 しびれ などの自覚症状の有無を調べるのは、症状自体の治療とともに、合併症があるかないかを知る手がかりともなります。特に しびれ や マヒ などの神経学的な所見の有無は重要です。

両親や兄弟姉妹など、血縁者に 高血圧 の人がいないか、 高血圧 の 合併症 を起こした人がいないかなど(このようなことを家族歴という)も尋ねられます。
血縁者に高血圧の人がいる場合は本態性高血圧の可能性が高くなりますし、本人だけが非常に高い場合は、二次性高血圧に注意を払わなければなりません。

診察 血圧測定、聴診、打診、触診、むくみの判定

血圧測定
正常値
  • 収縮期血圧 140 mmHG 以下
  • 拡張期血圧 90 mmHG 以下

朝日覚めた直後の最も安静な状態での血圧を 基礎血圧 といいますが、 基礎血圧 は入院しているときでないと測れません。私たちがふつう 血圧 といっているのは、「随時血圧」のことです。
血圧は、家庭で測るときと痛院で測るときではかなり値の違う人もいますが、治療方針を決める場合には、病院で測った値を基準にします。

食事や喫煙、運動の直後は 血圧 が上がるので、そのような状態での 血圧 の測定は避け、普通の状態で5分以上安静にし、すわって、上腕で測ります。2回以上測ってその平均をとるのが望ましいのですが、病院によっては1回の測定で判断するところもあります。

初めての診察では、左右の腕を測ることもあります。一般にきき手は高めに出るので、10 mmHG ぐらいまでの差は正常範囲内とします。しかし、20~30 mmHG 以上の差のあるときは、左右どちらが高い場合でも大動脈炎症候群による二次性高血圧の可能性があるので、そのための精密検査を行います。

問診のとき、血縁者にだれも高血圧の人がいず、20代ぐらいの若い人か、逆に60歳を過ぎてから高血圧になった人だということがわかったときは、上腕と下肢の血圧を測ることもあります。大動脈縮さく窄症といって、大動脈が途中で狭くなっている病気の場合、腕の血圧は高いのに脚の血圧は低くなります。このときも精密検査を行います。

聴診、打診、触診打診とは、手で胸の上をたたいて、心臓が大きくなっていないかどうかを調べる検査ですが、現在では レントゲン 撮影をすることが多いので、行わないこともあります。
聴診とは、聴診器を胸やおなかに当てて、雑音がないかどうかを調べる検査です。心臓に雑音のあるときは大動脈弁閉鎖不全症が、おなかに雑音のあるときは腎血管性高血圧が疑われます。
触診とは、腫瘍がないか、腎臓や肝臓がはれていないかなど、腹部にふれて調べる検査です。むくみの判定腎臓が悪いときには、血圧が高くなるだけでなく、むくみ(浮腫)の出ることもあります。腎臓での排泄機能が低下して、体の中の水分が多くなるためです。 むくみ は腎臓だけでなく、心臓や肝臓の悪い場合でも見られます。
むくみ があるかどうかは、普通はすねを押して、へこみぐあいで調べます。

肥満の場合は皮膚の下は脂肪なのて、押してもすぐ元に戻ります。それに対して、 むくみ の場合は皮膚の下が水分なので、肥満は高血圧を助長するだけでなく、高血圧の合併症も誘発するという点で重要なので、スクリーニング検査の中に肥満の判定も入っています。

一般的な判定法は、( 身長-100)× 0.9 プラスマイナスを理想体重として、これより±15% 以内に入っているかどうかを調べるという方法です。

この方法では、厳密にいえば骨が太いのか、筋肉が多いのか、脂肪が多いのかまではわかりませんが、簡便なので、身長と体重のバランスから肥満度を判定しているのです。

尿検査 大事なのは 尿タンパク と 尿沈査

尿たんぱく
正常値
  • 定性検査 陰性(-)

高血圧でタンパク尿(尿にタンパクが混入する)のあるときは、まず腎臓に腎炎などの障害があってその後血圧が高くなる場合と、高血圧が進んだ結果として腎臓の障害が出る場合があります。

いずれにしても、腎臓の障害があるかないかを知る手がかりとします。タンパク尿の定性検査では-± +、と判定しますが、異常は+ からで、±は異常とはしません。定量検査は、尿1 dl 中にタンパクが何呼出ているかを測る検査で、タンパクの量を正確に知ることができます。ただし、タンパク尿はかぜで熱が出たぐらいでも出るので、継続的に出ていない場合には問題となりません。

潜血反応
正常値
  • 陰性 -

尿に試薬をまぜて、その反応で血液がまじっているかどうかを調べる検査です。- ± + 2+ 3+ で判定します。まれな病気ですが、腎臓に多数の膿疱を満たした袋)ができる嚢胞腎という病気は、初期には高血圧と血尿だけのことが多く、その診断の手がかりとなります。

尿沈査
正常値
  • 正常値 赤血球・白血球とも1個/視野から2個/視野細菌 0個

尿を試験管にとり、遠心分離機にかけると、血球などの重い成分が下に沈みます。その沈んだものをスライドグラスにのせ、顕微鏡で視野を移動させながら調べます。

細菌の有無もこの方法で調べます。慢性の腎孟腎炎があると白血球が出たり、細菌が出たりしますが、長い間に高血圧にもなるので、その診断の手がかりになります。

細菌は尿の中に全くないのが原則ですが、尿をとるときにまじることもあるので、少し見つかる程度なら正常と判定されることもあります。

尿糖正常値 陰性 (-)

尿の中に糖が出ているかどうかを調べる検査で、- ± – + ++ で判定します。 糖尿病 のある人が高血圧になると重症になることがありますし、クッシング症候群という副腎皮質から分泌されるホルモンの病気では、高血圧とともに尿糖が出ます。

血算 血液中の赤血球、白血球、血小板、ヘモグロビンを調べる

赤血球
  • 男性 410~530 万
  • 女性 380~480 万
白血球
4000~8500 万個
血小板
15~49 万
ヘモグロビン
  • 男性 14~18 g/dl
  • 女性 12~16 g/dl

高血圧で行うスクリーニングの血液検査としては、血算と血清生化学検査があります。血算では、1 m㎡ 血中に赤血球、白血球、血小板の数がどれぐらいあるかということと、1 dl 中にヘモグロビンが何 g あるかを調べます。血算は、病気全般のスクリーニングとしての意味はありますが、高血圧のスクリーニングとしては、むしろ血清生化学検査のほうが重要です。

血清生化学検査 短時間で多くの成分の検査ができる

血液を試験官に入れて、遠心分離機にかけると、血餅という血の固まったものが下に沈んで、血清という黄色っぼい上澄み液ができます。これを自動分析機にかけると、短時間で20種ぐらいの成分値が出てきますが、ここでは高血圧のスクリーニングとして必要なものを紹介します。

電解質
電解質の検査は腎臓障害があるかどうかをみるために行いますが、この中で特に重要なのが、カリウムです。高血圧だけでなく、同時にカリウム値が低いときは原発性アルドステロン症(P 54参照)が、高いときは腎不全などのような腎機能の低下が疑われます。利尿薬を服用しているときも、カリウム値が低くなります。
血糖(BS BZ)
尿糖と同様、糖尿病があるかどうかを知る手がかりとしますが、食事をしたあとは血糖値が高くなるので、空腹時に検査しないと意味がありません。空腹時の血糖値が1 dl中140 mg 以上になると、糖尿病と診断されます。

眼底検査 高血圧の重症度を知るてがかかりに

眼底(網膜)は、高血圧になると出血などの障害が出やすいところで、また、人体の中で唯一、動脈を直接見ることのできるところです。

さまざまな検眼鏡を使って調べたり、眼底カメラで写真を撮ったりします。高血圧の場合、網膜の血管が収縮していたり、血管の交差しているところに異常が見えたりします。

ゼロ網膜の様子は、0を正常とし、第Ⅳ度までの五段階に分類されていますが、具体的には、次のようなことが検査のポイントになっています。

第Ⅰ度(軽症高血圧)
動脈の幅が普通より少し狭くなり、軽い動脈硬化が出ている。
第Ⅱ度(中等症高血圧)
動脈の幅はさらに狭くなり、動脈硬化が見られる。
第Ⅲ度(重症高血圧)
第Ⅱ度の血管の変化に加えて、出血、白斑(出血のあとや動脈の梗塞のため血液のとだえているところ)などが見られる。
第Ⅳ度(悪性高血圧)
第Ⅲ度の血管変化のほかに眼底の乳頭(視神経が脳へ出ていく出口)の境界が不鮮明となり、乳頭浮腫=種の水ぶくれ)の状態になっている。

ただし、眼底検査は手間がかかるうえに、暗い部屋でないと行えません。内科の開業医で暗室を備えたところは少ないので、実際には内科医ではあまり行われていず、必要な人にだけ、眼科医での眼底検査をすすめているところが多いようです。

心電図検査 波形の変化などで心肥大を判定

心臓からは電気信号が出ていて、それは心臓の真上にあたる皮膚にも伝わっています。

その信号を記録したのが心電図で、心電図の波形の変化をみると、心臓の異常の有無が、ある程度わかります。心電図検査は、皮膚の上に電極をつけて行いますが、10分ほどで終わり、ほとんどの内科医でできます。

心電図によって心肥大、電気信号を発生する際の異常、電気信号が伝わる際の異常を判定するのに使われています。

胸部X線検査 心拡大や心不全を判定

心電図とのセットで行うことが多い検査ですが、専門の部屋が必要なので、すべての内科医でできるとは限りません。

この検査では心臓が拡大しているかどうかを調べます。胸郭の幅に対する心臓の横径の比を「心胸(郭)比」といいますが、これが50% 以下なら正常です。

二次性高血圧 が疑われるときの検査とは

二次性高血圧とは、体質・遺伝・環境・加齢によって発症する本態高血圧とは異なり、ある特定の原因がある 高血圧 をいいます。 主に腎臓の働きに関連するものと血圧を上げるホルモンが異常になるものがあります。

ホルモンの検査

  • アルドステロン 正常値 5~20 ng/dl
  • レニン 正常値 0.5~2.0 ng/dl
  • コルチゾール 正常値 5 mg 以下/dl
  • アドレナリン 正常値 12 ng/1日排泄量
  • ノルアドレナリン 正常値 66 /1日排泄量ng
  • ドーパミン 正常値 242 ng以下/1日尿排泄量

原発性アルドステロン症が疑われるときは、血中のアルドステロンやレニンの量を調べます。この病気になると、アルドステロン値は高く、レニン値は低くなります。
また、レニンは腎血管性高血圧のときに高くなるので、その可能性があるときも調べます。クッシング症候群が疑われるとき、血中のコルチゾール(糖質コルチコイド一種で最も代表的なもの)を調べます。この値が高いとクッシング症候群の可能性が高くなります。褐色細胞腫(P5参照)が疑われるとき、尿中のカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン) を調べます。これらの値が高いと褐色細胞腫の可能性が高くなり、ます。

クレアチニン・クリアランス検査

  • 正常値110 ml ± 20 ml 分

腎臓の糸球体の濾過率が悪いと思われるときに調べる検査です。まず、500 ml ぐらいの水を飲んで1時間後に尿を出し、30分後に採血、1時間後に採尿をします。この検査では血中のクレアチニン濃度、尿中のクレアチニン濃度、尿の量で判定します。数値が低い場合に腎機能の低下があると判定されます。

CT検査、超音波検査(エコー)

CT はコンピュータとX 線を組み合わせた断層撮影装置のことで、臓器や組織を輪切りの状態で撮影します。

超普波検査(エコー)は、人体に聞こえない高い周波数の音波を使った検査で、Ⅹ線のような副作用もないといわれています。ともに、原発性アルドステロン症や褐色細胞腫などの腫瘍を見つけるのに有効です。

静脈性腎孟造影

静脈にヨード系の造影剤を注入してⅩ線撮影をすると、尿管や腎臓の形が浮き上がって見えます。

造影剤を入れてから、1分後、2分後、3分後というように何枚か撮影しますが、腎臓の血管に狭窄があると、流れが悪いので、3分後ぐらいまでだと、悪いほうの腎臓ははっきり映りません。

ところが、15分後ぐらいになると、正常な腎臓は造影剤を排泄してしまっているので映らないにもかかわらず、悪いほうの腎臓が今度ははっきりと映りのうほうじんます。腎血管性高血圧や嚢胞腎が疑われるときに行います。

血管造影

腎動脈にカテーテル(血管、臓器の検査や治療に優「プラスチック製の細長い管)を入れ、そこからヨード系の造影剤を入れてⅩ線撮影をする検査です。腎動脈の狭窄、原発性アルドステロン症などの腫瘍が疑われるときに行います。

高血圧の正確な判定方法

高血圧の測定方法

血圧も正しい正確な測定方法で測定しなければいけません。 高血圧の正確な判定方法 を紹介します。

高血圧の正確な判定方法 高血圧のほとんどを占める 本態性高血圧 が診断されるまで

高血圧のほとんど およそ 8〜9割を占める 本態性高血圧 は、原因のわからない高血圧です。ということは、本態性高血圧かどうかは、血圧を高くする病気をすべてチェックして、原因となっていないことを確かめて初めて診断がつけられるということになります。

高血圧の正確な判定方法

高血圧の正確な判定方法

しかし、現実の問題として、1つ1つをすべてチェックしていくのはとうてい無理です。そこで、血圧の上がり方の特徴、血圧以外の症状などから原因と考えられそうな病気の見当をつけ、その検査をしたうえで診断が下されるのが普通です。

その際、両親が 高血圧 だと 本態性高血圧 の可能性が高くなり、30歳以前で 高血圧 だと、ほかの病気が原因となって 血圧 が上がっている可能性が高くなります。

 

収縮期血圧140 mmHg 以上、拡張期血圧95 mmHg 以上が 家庭血圧 では、それより低い 135 mmHg 以上または 85 mmHg 以上が高血圧

それでは、血圧値がいくつからを 高血圧 というのでしょうか。血圧は常に連続して変化しているものですから、そこに正常と異常との線を引くのはむずかしいものです。しかも、人種、地域、年齢、文化の違いなど、さ達ざまな条件で変わってきます。

しかし、年齢や人種に関係なく、一定のレベルを超えると、心血管系に合併症の起こる率が高くなるのは事実です。そこで、 WHO (世界保健機関)では、基準を設けています。

収縮期血圧 とは 心臓 が 収縮 して血液を血管に送り出すときの 血圧 で、 最大血圧 、あるいは 最高血圧 とも呼ばれています。 拡張期血圧 とは、逆に心臓が拡張して末端から戻ってきた血液を心臓に入れるときの 血圧 で、 最小血圧 、あるいは 最低血圧 とも呼ばれています。

ところで、 血圧 は場所や日時で変化します。そのため、二度以上診察することと、それぞれの診察の際、すわった姿勢で3回以上血圧を測定し、その平均値をもとにして判断するのが正しい方法です。

米国高血圧合同委員会が1988年に発表した分類がありますが、これを高血圧の基準としている医師も多くいます。

この分類は WHO の分類と違い、 拡張期血圧 (最小血圧) のほうに重点がおかれています。それは、収縮期血圧(最大血圧)のほうはわずかの刺激で変動しやすいのに対し、 拡張期血圧 は比較的変動しにくいためと思われます。ただし、これらの表で正常血圧の範囲内にあっても、たとえば20代や30オそこそこで収縮期血圧が 138 ~ 139 mmHG もあるようなときは、将来、高血圧になる可能性をはらんでいます。

いずれにしても、 高血圧 かどうかを自分ひとりで判断すると危険な場合もありますから、必ず医師に判定してもらいましょう。大きな病気が潜んでいる場合もありますから自己判断は禁物です。また、血圧は自覚症状(痛み)などがないために長期放置してしまうケースがあります。これはとても危険です。

血圧があがってしまう原因

血圧があがってしまう原因 高血圧 はどうして起こる

高血圧の測定方法

血圧があがってしまう原因 はどこにあるのでしょうか?日本の高血圧患者は、全体として約4,300万人いると推定されており、日本人のおよそ3人に1人が高血圧という状況です。 もはや国民病といっても過言ではないでしょう。 高血圧を放置していると、心疾患や脳卒中を起こす可能性が高まります。

血圧があがってしまう原因

血圧があがってしまう原因

高血圧の悩みは紀元前の人にもあった

紀元前に中国で書かれた医書「黄帝内経」には、「脈が激しく触れるときが病の始まり……食塩を多く摂ると脈が激しくなる…」と記されています。

また、同時代のエジプトでも、脈の状態と脳卒中の関係が認められていたといいます。

人類と高血圧とのつきあいはずいぶん昔からあったことになりますが、血圧を上げる体内のメカニズムは非常に複雑で、いまだに完全には解明されていません。

ただ、私たちの体の中には、血圧を上げるいろいろな物質があること、逆に血圧を下げる物質もまたいろいろあることが、だんだんわかってきました。

どんなものが、どんなふうに作用しているのか、最近の研究からわかった新情報も織りまぜながら、説明することにします。

まずは、血圧が何によって決まるのか、ということから考えてみましょう。まずは、血圧が何によって決まるのか、ということから考えてみましょう。

心臓 の拍出量 と 末梢血管 の 抵抗 が二大要因

血圧を決める因子として重要なものは2つあります。1つは心臓の柏出量、もう1つは末梢血管の抵抗です。

心臓の抽出量とは、心臓が1分間に送り出す血液量のことで、心臓の1回の収縮により出される血液量と、心拍数によって決まります。

成人の場合、抽出量はほぼ4〜5 Lですが、もし何かの原因でこの量がふえると、心臓はその分よけいに働かなくてはなりません。心臓の血液を押し出す力が余分に必要となるわけで、当然ながら、血圧は上昇します。

では、 末梢血管 の抵抗はなぜ 血圧 を決める重要な因子になるのでしょうか。血管の抵抗とは、血液の流れに逆らう血管の力のことです。血液の流れに逆らう力が強くなると、血液をスムーズに流すために、圧力をよけいにかけなければならず、高い血圧が必要になるわけです。

しかも、血液の流れに逆らう力は、動脈の弾力や動脈内腔の広さによって変わってきます。動脈の弾力がなくなり、内腔が狭くなるほど、血流が妨げられることになるのです。

特に末梢血管での抵抗が問題になるのは、血管が細いと、少しの変化でも影響を強く受けるからです。その他の因子トトしては血液の粘調度(粘りけと密度)、循環血液量、大動脈の抵抗が考えられます。

血液はサラサラしているよりネバネバしているほうが流すのに圧力を必要とします。循環血液量は多くなればなるだけ血管内壁に内からかかる圧力も大きくなります。大動脈も、弾力がなくなったり、内腔が狭くなれば、やはり血液を流すのがたいへんになります。このようなわけで、これらの3つも血庄を決定する因子になりますが、重要度からいうと、心拍出量と末梢血管の抵抗の2つということになります。

次は、これらの因子が何にどのように影響されるのかを見てみましょう。

血圧の調節にかかわるさまざまな物質

心拍数や循環血液量に影響を与えているのは

最初に考えなければならないのは、心臓の収縮力や心拍数をコントロールしている中枢神経と、中枢神経の指令を伝達する交感神経です。

そして、交感神経が働くときに必要なアドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンについても考えてみなければなりません。

腎臓の働きは、循環血液量に大きな影響を与えています。水やナトリウムの排泄が悪くなると、体の中の水分がふえ、循環血液量を増すからです。ナトリウムの摂取量が多いと、循環血液量をいっそう増加させます。カリウムは摂取過剰のナトリウムを体外へ排出させる働きがあり血圧によい影響を示しますが、腎臓の機能が低下し、腎不全が起こっているときは腎臓に負担がかかるので、避けなければなりません。

そのほか、カルシウムやマグネシウムも血圧調節に関係していますが、体内でのミネラルの作用は複雑で、完全にはわかっていません。腎臓の排泄にかかわっているホルモンには、尿量をふやす心房性ナトリウム利尿ペプチドもあれば、尿量を減少させるバゾプレッシンもあるというぐあいで、こちらの作用も単純ではありません。

末梢血管の抵抗に影響を与えるもの

交感神経と、交感神経を通じて指令を与えている中枢は、末梢血管の収縮・拡張のコントロールもしており、交感神経が働くときはアドレナリンやノルアドレナリンも使われています。

腎臓はまた、心臓に対してだけでなく、末梢血管にも影響を与えています。末梢血管を収縮させる作用のあるアンジオテンシンⅢ を働かせる際には、腎臓から分泌されるレニンという酵素が必要だからです。

末梢血管の抵抗にかかわっているホルモンには、アドレナリンやノルアドレナリンのほか、血圧を上げる作用のあるエンドセリン、血圧を下げる作用のあるカリクレインなど、いろいろあります。

プロスタグランディンも、トロンボキサA2が血圧を上げるほうに、プロスタグランディンE2やプロスタグランディンI2 が血圧を下げるほうに働くなど、血圧の調節に影響を与えています。このように、実にたくさんのものが血圧調節にかかわっています。今度はそれら1つ1つの働きがどうなっているかを見てみましょう。

血圧をコントロールする神経の働き

血圧は、心臓の収縮力や心拍数の変化、血管の収縮や拡張によって上がったり下がったりしますが、心臓や血管のこのような動きは交感神経の緊張と緩和によって起こります。そして、交感神経にこのような指令を与えているのは、延髄にある 血管運動中枢 です。

つまり、 血管運動中枢 の 指令 によって交感神経が緊張すると、心臓の収縮力が増したり血管が収縮して血圧が上がり、逆に交感神経の緊張がゆるむと心臓の収縮力も弱くなり、血管は拡張して血圧は下がるというメカニズムです。

中枢、末梢神経の連携プレーによって、血圧はコントロールされているのです。

体の末端でのこの変化をキャッチし、それを血管運動中枢にフィードバックする経路もあります。

圧受容体から延髄の 孤束核 、血管運動中枢への経路です。頸動脈洞や大動脈弓部には血圧の変化をキャッチする庄受容体があることはすでに説明したとおりですが、たとえばここで血圧が高いと感じると、その情報が中枢へ向かう神経を通って延髄の孤束核へ伝えられます。孤束核からその情報が血管運動中枢に伝わると、心臓や血管に血圧を下げろという指令が下されるのです。

また、頸洞脈小体も血圧調節で重要な役割を果たしています。ここで血液中の酸素濃度の低下や二酸化炭素濃度の上昇をキャッチすると、その情報が延髄にある呼吸中枢や循環中枢に伝えられ、ここから肺や心臓に、呼吸、心拍数などを変えろという指令が出され、その結果、血圧も変化するのです。

また、驚きや怒りなどの精神的緊張によっても 血圧 は上がりますが、これは血管運動中枢が大脳の支配を受けているからです。長い間ストレスを受けつづけると高血圧になりやすいことや、 高血圧 の人は ストレス を受けると 血圧 が上がりやすいということがわかっています。

体内でつくられる、 血圧 を上げる 物質

レニン・アンジオテンシン系の作用

一方、体内では血圧を上げるいろいろな物質がつくられています。その中で昇庄に働くレニン・アンジオテンシン系の作用についてです。 レニン は一種のタンパク分解酵素で、主に腎臓の中でつくられています。 レニン が分泌されると、腎臓をはじめとするいろいろな臓器や血中にあるアンジオテンシノーゲン(タンパク質の一種)に働きかけて、 アンジオテンシンⅠがつくられます。 アンジオテンシンⅠ は10個のアミノ酸からできていますが、これにアンジオテンシン変換酵素が働きかけると、2個のアミノ酸がとられて、 アンジオテンシンⅡ に変わります。これが非常に強力な作用のある昇圧物質で、血管に直接働いて血管を収縮させます。

そのほか、 アンジオテンシンⅡ はアルドステロンの分泌を促進することによっても 血圧 を上昇させています。アルドステロンは副腎皮質から分泌されるホルモンで、ナトリウムを体内に貯留する作用をもっています。そのため、アルドステロンが多くなりすぎると、体内にナトリウムがため込まれ、体液量がふえるため、血圧上昇に結びつきます。

アルドステロンの分泌量が増加する「原発性アルドステロン症」になると、血圧が高くなります。

バゾプレッシンの作用

血圧を上げる作用をしているものに、 バゾプレッシン という ホルモン があります。これは下垂体から分泌される 抗利尿ホルモン で、腎臓の中で水の再吸収を促す作用があります。そのため、体内の水分が増加し、循環血液量を増すことにもなるので、血圧上昇につながるのです。

バゾプレッシン にはさらに、細動脈を収縮させて血圧を上げる働きもあり、特に悪性高血圧と呼ばれる病気に深くかかわっています。

アドレナリン と ノルアドナリン の作用

アドレナリン も ノルアドレナリン も副腎髄質から分泌される カテコールアミン と呼ばれる ホルモン で、血管を収縮させて血圧を上げる作用があります。これらの ホルモン は興奮したり、攻撃的な気持ちになるときに多く分泌されます。カーッとすると血圧が上がるのは、この ホルモン の影響です。

ノルアドレナリン は交感神経が興奮するときに交感神経の末端からも分泌されますが、これは血管壁にあるノルアドレナリンの受答体( レセプター)と結合して、血管を収縮させています。血圧の変化とノルアドレナリンの分泌を調べた研究によると、このⅡつの変化は並行していて、血圧の上がるときは ノルアドレナリン の分泌もふえています。しかも血圧の高い人は、正常な人にくらべると ノルアドレナリン の分泌が高いレベルのまま維持されていると報告されています。

エンドセリン の作用

血管壁の最も内側には内皮細胞があると説明しましたが、ここから分泌されている エンドセリン と呼ばれる物質にも血管を収縮させ、血圧を上げる作用のあることが、最近の研究でわかりました。 エンドセリン は、いままでに発見された血管収縮作用のあるどんな物質よりも少ない量で血管を収縮させること、血管収縮のスピードは アンジオテンシンⅡ ほどではないものの、いったん収縮させると長時間持続することなどもわかっています。

また、イスラエルにすむ毒蛇の一種にかまれると、心臓の冠動脈(心臓に酸素と栄養を送り込む動脈)がケイレンを起こすことが知られていますが、 エンドセリン はこの毒蛇の毒の構造とよく似ているほか、さそり毒やはち毒の中にも似たもののあることがわかっています。

プロスタグランディン の作用

プロスタグランディン とは、精液、子宮内膜、甲状腺、副腎髄質など、いろいろな組織や臓器に含まれる、さまぎまな生理作用をもつ脂肪酸のグループのことです。この プロスタグランディン の一種、トロンボキサンA2 も血管の内皮細胞から出て、血管を収縮させる作用があります。

血圧 を下げる働きのある物質

カリクレイン・キニン系の作用

カリクレイン とは、腎臓、膵臓、顎下腺など体内のいろいろなところでつくられる、タンパク質によく似た物質です。これが キニン (ペプチドというアミノ酸の結合したもの)の母体である キニノーゲン (タンパク質の一種)に働きかけると、  ブラディキニン  (キニンの一種)ができます。

できた ブラディギニン には血管を拡張させ、血圧を下げる作用があります。また、 ブラディキニン は キニネースⅡ という酵素によって破壊されますが、これは実は、アンジオテンシン変換酵素と同じ物質です。

つまり、 アンジオテンシンⅠ から強力な昇圧物質である アンジオテンシンⅡ ができるときに使われる酵素が、降庄物質を破壊しているわけです。

そのほか、カリクレイン・キニン系はナトリウムの排泄や、後述の プロスタグランディン をつくる過程にも作用し、その面からも血圧を下げるのに役立っています。

心房性ナトリウム利尿ペプチドの作用

これは心房から分泌されるホルモンで、腎臓からのナトリウムの排泄を促す作用があるほか、血管に直接働き、血管を拡張させ、血圧を下げることが知られています。

プロスタグランディン の作用

降圧に関係している プロスタグランディン はE2とI2です。E2は腎臓髄質の中に多くあり、ナトリウムと水の排泄を催したり、血管を拡張させたりすることで、降圧に役立っています。I2は血管壁に多く含まれている プロスタグランディン ですが、腎臓の中では皮質の血管で多くつくられ、血管を拡張させるように働いています。

利尿と昇庄作用をもつジギタリス様物質

ジギタリス は強心剤の原料にもなる毒草で、以前から細胞膜のナトリウム・カリウムATP ace( ナトリウム・カリウムポンプを働かせる酵素)を阻害することがわかっていました。

さらに、最近、この ジギタリス と同じょうな作用のある物質が、私たちの体内にもあることがわかりましたが、この物質には利尿作用と血圧を上げる作用があるらしいのです。たとえば、 ジギタリス様物質 が腎臓の尿細管(水分やミネラルの再吸収をしていい未開の民族は年をとっても高血圧になりません。

また、軽い 高血圧 の人の中には、食塩制限をするだけで血圧が正常に戻る人も少なくありません。

では、なぜ、食塩が 血圧 を上げるのでしょうか。食塩の主成分はナトリウムです。ナトリウムは私たちの体の中では細胞の外にある液体の中に多く含まれ、細胞の中と外の水分のバランス、酸・アルカリのバランスなどを保つ作用をしています。一方、細胞の中の液体にはカリウムが多く含まれていて、やはり細胞の中と外との水分バランスや酸・アルカリのバランスを保つ作用をしています。

しかも、ナトリウムとカリウムのこの関係を推持するために、細胞内にナトリウムが多くなりすぎたときは、細胞膜に備わっているあるしかけが働くようになっています。

このしかけはナトリウム・カリウムポンプと呼ばれていますが、細胞内のナトリウムを外へ出し、かわりに細胞外のカリウムを中に入れるのです。外へ出た不必要なナトリウムは腎臓から排泄されます。

ナトリウムをとりすぎると血圧が上がることはよく知られていますが、すべての人が上がるわけではなく、ナトリウムのとりすぎにより血圧の上がりやすい人とそうでない人がいるのです。

ナトリウムにより血圧の上がりやすい人、たとえば遺伝的に腎臓のナトリウム排泄機能に障害のある人では、過剰に摂取したナトリウムを腎臓から十分排泄できないため、ナトリウムが体内にため込まれ、その結果、血液の水分量がふえて血圧が上がります。

また、平滑筋細胞では、細胞内のナトリウムが増加すると、ナトリウムとカルシウムを交換する第二のポンプの働きでカルシウムも増加しますが、カルシウムは平滑筋細胞を収縮させる作用があるので、カルシウムの細胞内への増加は血管内脛を狭めることになり、血圧が上昇します。さらに、カルシウムは中枢神経に作用したり、血管を収縮させる物質に対して作用を増大させるように働き、血圧を上昇させやすくします。

カリウム や カルシウム を多く摂取すると血圧が下がる

カリウム は ナトリウム との間でお互いの作用を打ち消し合う桔抗作用があります。そのため、 カリウム を多くとることは血圧を下げるのに役立ちます。

カリウムの降庄効果は血圧の正常な人では明らかではありませんが、高血圧の人では確認されています。それは、 カリウム に腎臓での ナトリウム や水分の排泄をふやす働き(特にナトリウム過剰時)があり、血管拡張作用、さらに交感神経系やレニン分泌を抑える作用があるからだと考えられています。

では、カルシウムは血圧の上昇や下降にどのようにかかわっているのでしょうか。

カルシウム は細胞内にたくさん入り込むと 血圧 を上昇させますが、食物として多めに摂取すると血圧を下げるのに役立つ報告があります。

カルシウム と ナトリウム とは括抗関係にあり、腎臓の尿細管にこの二つが同時にあると、互いか再吸収を妨げ合い、尿中へのナトリウムの排泄が多くなるからだと考えられているのです。

このことは、イギリスでの疫学調査の結果からもうかがえます。この調査は、カルシウム を多く含む水を飲んでいる地域の住民と、カルシウムの少ない水を飲んでいる地域の住民の血圧を比較したところ、カルシウムを多く含む水の地域の住民のほうが血圧が低かったというものです。

しかも、心臓病や脳卒中などの病気で死亡する人の割合も少なかったということです。また、 カルシウム の血圧を下げる効果は、 カルシウム 代謝のとき使われる 副甲状腺ホルモン や ビタミンD の作用を通して生じるのだと考、えられています。しかし、カルシウムの摂取皇里と高血圧とは相関関係がないとの調査報告もあり、カルシウムの多い食事をすれば高血圧が必ず予防できるとはいい切れません。しかし、少なくともカルシウムを多くとったほうが 血圧 が上がってしまうということはないようです。