腎臓の病気 高血圧が原因の合併症

腎臓の病気 高血圧が原因の合併症 高血圧が続くと、腎臓の血管でも動脈硬化が起きます。 腎臓の血管は特に細いので、動脈硬化が起こると血液の通り道がさらに狭くなり、血液の流れる量が減ってしまいます。

血液が十分に行き渡らなくなると、腎臓の働きが悪くなってしまいます。

動脈硬化のせいで 腎機能障害が起こる  「 腎硬化症 」

 腎臓の病気 高血圧が原因の合併症

腎臓の病気 高血圧が原因の合併症

高血圧 が引き起こす腎障害で最も多いのは 腎硬化症 です。 腎硬化症 とは、腎臓の小動脈が動脈硬化を起こして糸球体と尿細管の機能が悪〈なる病気で、高血圧が長くつづ〈と起こります。

腎硬化症 はゆっくり進行するので、最初は尿検査をしても異常がないか、あっても軽い血尿やタンパク尿程度です。しかし、だんだん腎機能が低下し(腎不全)、老廃物が体にたまって、だるさ、食欲不振などが起きます。腎不全が進むと、最終的には尿毒症になります。腎不全が進むと体に水分がたまるため、主に膝から下にむくみが起こり、血圧がさらに高くなって急性心不全も合併しやすくなります。

また、腎臓は赤血球の生成を促進するエリスロポエチンというホルモンをつくりますが、腎不全ではこのホルモンの生成も落ちるので、赤血球ができにくくなり、貧血も起こります。

カルシウム代謝にも異常が起きて、骨がもろくなることもあります。食事療法、運動療法に加え、必要ならループ利尿薬(フロセミド)、カルシウム桔抗薬、ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬(カプトプリル、エナラプリル)、β遮断薬などの飲み薬で血圧を調整し、病気の進行を抑えることが重要です。

血圧が異常に高くなり、さまざまな障害を起こす 「 悪性高血圧 」

血圧が非常に高くなり、腎障害の程度が強いほか、脳や心臓の合併症が急速に進行する状態です。

最低血圧が 130 mmHG 以上になります。腎機能が急激に悪化することが多く、眼底変化も強く、高血圧性脳症も起こります。

高血圧性脳症とは、脳の動脈の異常な拡張によって脳庄が高くなり、嘔吐を伴ったはげしい頭痛、口のもつれ、運動マヒ、視力障害などが起こる状態で、ひどいときは全身のケイレンも伴います。

悪性高血圧の原因の多くは 本態性高血圧 と 慢性腎炎 ですが、腎血管性高血圧、褐色細胞腫、強皮症(膠原痛の1つで、腎臓の血管をはじめ、全身の血管がおかされる病気)などが原因になることもあります。

悪性高血圧の人の一部はすでに末期腎不全(尿毒症)を起こしているため、人工透析が必要になります。高血圧性脳症や心不全がある場合は、ICU(集中治療室)などで厳重な管理のもとに、静脈注射を中心にして血圧を下げます。脳症や心不全がなく、腎障害が軽いときは、一般病室で飲み薬(主にACE 阻害薬、ループ利尿薬、β速断薬、カルシ拮抗薬)などが使われます。