減塩を成功させるポイント

食材を豊富に使うことは減塩によい

食塩摂取量の目安は1日10g以内

高血圧の大敵である塩分ですが、塩分の摂取が過剰になると、体内のナトリウム濃度が増し、それを薄めようとして水分が血液中に引き込まれます。このため、循環血液量もアップし、血圧が上昇します。

では、塩分を全く摂らなければ、健康になれるのでしょうか?これは間違いです。食塩はナトリウムと塩素からできていますが、ナトリウムは体内の水分調節や血液濃度をコントロールするのをはじめ筋肉の収縮、神経の刺激伝達にかかわり、さらに塩素は胃液の塩酸をつくるなど生命維持には欠かせません。
1日に3~5gは必須です。

日本人はもともと主食が米であることから、塩分を多めにとってしまう生活習慣が身に付いてしまっています。また、しょうゆや、味噌といった調味料も欠かせません。3~5gでは味の満足感が得られないために10g以内と定めています。

偏食は、体が塩漬けに

日本人の平均食塩摂取量は13g前後です。健康的な適正量をオーバーしてしまっています。どんぶりものを食べたり、塩分の濃いおつまみを食べたり、外食が多いとどうしても塩分摂取は増えてしまいます。
10gはラクラク越えてしまうのです。
さらにスナック菓子やカップ麺などは塩分が多いため食事以外でも塩分を摂取しすぎる傾向にあるのです。また、そのことを自覚しないことが本来の問題なのです。

充実した食事は、4つの食品群からとる

これだけ食べ物があふれている中から何をどのくらい、どう組み合わせればいいのかは、難しい問題です。まず4つの食品群についてみていきましょう。

  • 第1群…卵、牛乳、乳製品
  • 第2群…肉、魚、貝類、豆、豆製品
  • 第3群…緑黄色野菜、淡色野菜、芋類
  • 第4群…穀物、調味料(砂糖、油)

第1群は完全栄養食品といわれる、卵、カルシウム豊富な牛乳・乳製品グループ。第2群は、主菜となる食品グループでたんぱく質の供給源です。肉や魚の動物性たんぱく質と、豆腐や納豆などの植物性たんぱく質をバランスよくとります。
第3群はビタミンやミネラル食物繊維などの供給源となり、第4群はご飯、パン、麺類などの主食となるエネルギー源になります。
特定のグループに偏らずに各グループからバランスよく摂取します。

果物や野菜のカリウムで血圧上昇にブレーキ

充実した食生活への改善は自然と減塩に導きます。同時に意識的にたっぷりとりたいのがカリウム。野菜や果物に含まれます。摂りすぎた塩分を体外に排出してくれる大切な栄養素です。
水に溶けやすく調理の加熱によって損失しやすいので生食が基本です。
ただし、減塩をしなければならない病気をかかえている際にカリウムを制限しなくてはいけない病気もありますので医師と相談の上実行するようにしましょう。

1日に食べたい食品の目安(成人のエネルギー16000キロカロリー)

 
食品
主な食品
目標摂取量
特徴
第1群
鶏卵・うずら卵 鶏卵1個または、うずら卵5個 必須アミノ酸のバランスが整った食品。
牛乳・乳製品 牛乳・チーズ・ヨーグルト 牛乳コップ1杯(140g)
と無糖ヨーグルト135g
カルシウムやビタミンA、B2が多く含まれている。
第2群
肉類 鶏ささみ・鶏レバー・豚ひれ肉・牛もも肉・挽肉・ロースハム 60g 良質のたんぱく質源となるが脂身は油脂のかたまりとなるので控える。
魚介類 あさり・いか・えび・たら・かれい・まぐろ赤身・あじ・鮭 70g ビタミンA、B1、B2、鉄、カルシウムも多い。
豆・豆製品 豆腐・湯葉・枝豆・かんもどき・厚揚げ・納豆・きなこ 豆腐3/1丁(100g)または納豆1パック 植物性たんぱく質の宝庫。
第3群
淡色野菜 きゅうり・白菜・レタス・大根・きゃべつ・ねぎ・玉ねぎ・ごぼう   ビタミンや、ミネラル、食物繊維が多く含まれる。余分な塩分を体外に排泄してくれるカリウムなども豊富。生でも煮ても良いが、量を食べる場合には、煮物やシチュー、お浸し。
緑黄色野菜 小松菜・ほうれん草・にんじん・ブロッコリー・かぼちゃ 100g
海藻・キノコ類 わかめ・ひじき・のり・しいたけ・しめじ・かぼちゃ 1品~2品
芋類 里芋・長いも・じゃがいも・さつまいも じゃがいも中1個(100g)または里芋小3個(135g)
果物 いちご・桃・グレープフルーツ・みかん・りんご・ぶどう・キウイ みかん小3個(200g)またはリンゴ小1個(160g)
第4群
穀類 ご飯・うどん・そば・パン・スパゲッティー・コーンフレーク ご飯小茶碗3杯(330g)と6枚切りパン1枚(60g) 日常生活に必要なエネルギー
砂糖 砂糖・みりん・水飴・ジャム・はちみつ・メープルシロップ 小さじ7杯 栄養素は糖質のみ。調味料として活用。
油脂 植物油・バター・マーガリン・マヨネーズ・生クリーム 小さじ4杯 ビタミンA、D,Eの吸収を助ける。

塩分量が健康の決め手(塩梅)

ストレス社会、高齢化社会を反映して健康への関心は高まる一方です。しかし、それとは相反するかのように、外食が日常的になり、加工食品やインスタント食品も氾濫しています。そのためか、脂肪、食塩、そして食品添加物を過剰に摂取してしまっているのが現状です。
これらが原因となって生活習慣病、高血圧、動脈硬化で悩む人々も増加しています。

なかでも塩分の摂りすぎは、高血圧の原因となりその結果、心筋梗塞、動脈硬化、不整脈とさまざまな病気の引き金となっています。
ここで問題なのは、塩辛さに対する反応がそれぞれだということです。
同じ料理を口にしても、味気ないと感じる人と、濃い味付けだと感じる人がいるのです。味の濃いものを食べ続けてしまうと、舌の塩分濃度に対する敏感さがどんどん低下してしまうのです。

物事の程合いや体の具合をさす「塩梅」は塩と梅酢でほどよく味付けする意味の「塩梅」から生まれた言葉でもります。塩は味付けだけなく健康の要だということを忘れてはいけません。