多種多様な果物がスーパーなどに陳列され売られているが、昔と変わらずに現在も人気を集めているのが、秋口から春先まで楽しめるりんごとみかん。爽やかで甘酸っぱい、あの味が大好きな人も多いはず。
そんなりんごとみかんに高血圧対策に重要な役割を果たすことがわかっている。りんごとみかんに含まれる血圧に関する有効成分は、大きく分けてふたつ。直接的に作用するカリウム。もうひとつ、間接的に作用する食物繊維。
このふたつの作用は芋類のところでも紹介したとおり同様の効果がある。
カリウムの血圧降下作用については、世界各国の研究者がさまざまな報告を行っている。カリウムには、ナトリウムの排泄を促進させる効果があり、カリウム不足になると、高血圧になりやすくなることがわかっている。
両親が高血圧であったりどちらか一方の親が高血圧である場合、脳卒中で亡くなったりしている場合には、ナトリウムの摂取を制限すると同時にカリウムを十分に摂取することが大切である。
このカリウムはりんごやみかんの他、野菜にも多く含まれるが、野菜の場合、火を通してしまうとカリウムは半減してしまう。カリウムは水に溶けやすい性質から、ゆでたり煮たりすると、汁や水の中に溶け出してしまうのだ。
生で食べる場合には、カリウムも十分に摂取可能だが、塩やドレッシングで塩分摂取過多になる傾向があるので気をつけることが大切。
こうしたことを考慮しても、生のまま手を加えることなく食べられるりんご、みかんは無駄のないカリウム補給源となる。一方、食物繊維効果も見逃すことが出来ない。
食物繊維は、便通を整えて大腸ガンを予防、また、コレステロールの代謝にもよい影響を与える。高血圧とコレステロールとの関係は次のようになる。
血中のコレステロールが増加→動脈硬化が促進→全身の血管に病変が起きる→細小動脈がかたくなる→末梢血管抵抗が高まる→血液循環させる圧力が高くなる→高血圧
血中のコレステロールのうち、食べ物に由来する分はわずか10~20%にすぎずほとんどは肝臓で合成されたもの。一方、体内のコレステロールの大部分は肝臓と胆汁酸という物質に変えられ、胆汁の成分となりどんどん小腸へと排泄される。
これがそのまま便と一緒に排泄されてしまえば問題ないが、この胆汁酸は小腸の下流のほうで再び吸収されて肝臓へと運搬され、またまたコレステロールに合成されてしまう。
これを肝臓と腸との間を循環しているという意味で腸肝循環という。
しかし、このとき、腸の中に食物繊維が存在していると、胆汁酸が繊維にくっつき、腸から再吸収されにくくなる。
食物繊維としのこの作用は、非常にマイルドなものだが、確実にコレステロールの再吸収を抑制する。
日頃から食物繊維を習慣的に摂取していれば、高血圧や動脈硬化を防ぐことになる。
[…] サ。カリウムは、体内の過剰なナトリウムと結合して排泄されるため、塩分の過剰摂取による高血圧を防ぐ働きがあるのです。 りんごの降圧作用についてはこちらにも記載があります。 […]