高血圧の治し方

腎血管性高血圧

腎血管性高血圧

腎血管性高血圧 は、大動脈から腎臓へとつながる腎動脈またはその分枝が部分的あるいは完全に閉塞した結果、レニン・アンジオテンシン系が冗進して引き起こされる高血圧です。

腎血管性高血圧 腎臓に血液を送る動脈が狭められるために起こる

腎血管性高血圧

腎血管性高血圧

腎血管性高血圧 は、腎臓に血液を送っている動脈に、狭窄といって、内腔の狭められるところができ、腎臓に血液が十分行かなくなるために起こる 高血圧 です。二次性高血圧の中では、 腎性高血圧 の次に多く起こります。

腎動脈に狭窄ができる主な原因は、動脈硬化症と線推筋性異形成ですが、そのそほかにも大動脈炎症候群、血栓症、塞給症などがあります。

特に老齢者の場合は、動脈硬化による狭窄が多くなっています。ただ、わが国では、欧米と異なり、大動脈炎症候群によるものが多いという特徴があります。

線維筋性異形成 とは、血管壁に膠原線維という細胞と細胞のつなぎ目になっでいる組織と、筋線維が増殖するために、血管の内腔が狭くなる病気です。

線維筋性異形成は 腎動脈 に起こりやすく、そのために 腎血管性高血圧 になるのです。若い女性に多い病気です。

動脈炎症候群とは、大動脈の分岐部から始まる動脈の炎症で、圧倒的に女性に多く起こります。炎症のある側の脈がふれなくなったり、ふれにくくなるので、脈なし病(別名:高安病)とも呼ばれています。

立ちくらみ、目の充血、視力低下、手足の冷えやしびれなどを伴うこともあります。炎症が腎動脈に及ぶと、 腎血管性高血圧 の原因になります。

なぜ 血圧が 上がるのかという点については、腎動脈に狭窄が起こり、腎臓への血流量が少なくなると、レニンの分泌がふえるからだと考えられています。

血管を拡張させる方法で治ることが多い

腹部に聴診器を当てると、狭くなった動脈内腔を通過する血流により生じる雑音が聴こえ、 静脈性腎孟造影 を行うと、造影剤を入れて2〜3分までは狭窄のある側の腎臓の影が狭窄のない側にくらべて映りにくく、また腎臓の大きさが小さいことなどにより診断されます。

レニンの測定と腎動脈造影も欠かせない検査です。特に腎動脈造影は、狭窄のある部分を特定できるので重要です。

治療でまず行われるのは、「経皮経管的血管形成術(PTA)」です。これは、先端にバルーンのついたカテーテルを股動脈や前腕動脈から入れて、狭窄のあるところでふくらませ、血管を拡張させる方法です。これは入院期間も短く、費用も少なくてすみます。腎動脈の狭窄が治ると、レニンの分泌も正常になり、血圧も下がります。

この方法で成功しなかったときは、血行再建術などの手術を行い、それでもだめな場合は降圧薬を用います。降圧薬では、ACE ( アンジオテンシン変換酵素 ) 阻害薬が有効なことが多く、これを単独で用いたり、 利尿薬 と併用します。この薬はアンジオテンシンⅠをアンジオテンシンⅡ にかえる酵素の働きを抑える薬です。

 

腎性高血圧

腎性高血圧

腎性高血圧 は、腎臓内へ入る血液量が不足することで、 レニン という酵素が余分に分泌され、血圧を上げる物質をつくるために高血圧が起こるものです。

原因で最も多いのは 腎炎による 腎性高血圧

二次性高血圧の中で最も多いのは 腎性高血圧 です。腎性高血圧はいくつかの病気が原因で起こりますが、この中で最も多いのが 腎炎( 糸球体腎炎  ) です。

腎性高血圧

腎性高血圧

腎臓は腹部の上のほうに左右一対ある、そら豆に似た形の臓器で、皮質、髄質、腎孟からなります。

腎動脈は腎臓に入ると枝分かれして細くなり、糸球体という小さな球になります。糸球体はボーマンのう嚢という袋に包まれ、血液が糸球体を通るとき血球とタンパク質以外のものはボーマン嚢の中へ濾過され、尿のもとができます。

糸球体はすべて皮質にあり、片側の腎臓だけで釣棚万個もあります。ポーマン嚢の端からは尿細管が出て髄質に入り、再び皮質に戻ってまた髄質へ向かい、さらに腎孟へと戻ります。糸球体でつくられた尿のもとは、この尿細管を通る間に大部分が再吸収され、残ったものが、体内でできた尿素、クレアチニン、尿酸などの代謝産物といっしょになり、尿となって排泄されます。

急性腎炎 は溶連菌感染のあとで起こりやすく、一種のアレルギー反応だと考えられています。子どもに多いのですが、20代ぐらいまでの青年や、老人にも見られます。

主な症状はむくみ、尿が少ないか出ない、タンパク尿、高血圧ですが、血圧は上がらないこともあります。

慢性腎炎は急性腎炎とは異なり、長期間タンパク尿がつづく病気です。慢性腎炎は最初、タンパク尿や血尿、尿沈査異常が見つかるぐらいで、むくみや高血圧にならないこともありますが、進行するに従って高血圧になります。

症状と尿検査の結果で診断されますが、正確な診断には腎生検が必要です。またクレアチニン・クリアランス検査などにより、腎機能を調べることも重要です。減塩食や利尿薬をはじめとする 降圧薬 を使って治療しますが、腎機能低下が進んで腎不全になると、 人工透析 が必要となります。

女性に覆い腎盂腎炎

腎孟腎炎は、大腸菌などの細菌感染による腎臓の炎症で、やはり腎機能の低下から高血圧になります。

症状は

  • 高熱
  • 腰痛
  • 尿が少ないか出ない
  • 尿のにごり
  • 排尿時の痛み

などで、尿沈査を調べると、白血球の増加とともに、大腸菌などの細菌が見つかります。

腎盂腎炎は 膀胱炎 から進むことが多く、男性より尿道の短い女性のかかりやすい病気です。

治療では、抗生物質の投与がまず行われますが、治療不十分な場合は慢性化することが多いので、症状が消えても医師の指示どおり薬を服用することが重要です。

 

高血圧の種類 本態性高血圧

高血圧の種類 本態性高血圧

高血圧にはどんな種類 があるのでしょうか?自分の高血圧の種類を知ることで対策も変わってくるのでしっかり理解すべきです。

日本人の高血圧の 85 ~ 90 %は、原因不明のはっきりしない 本態性高血圧 です。 もともと 高血圧 になりやすい体質や、塩分の摂り過ぎ、肥満、過度の飲酒、運動不足、ストレス、喫煙などが原因と考えられます。

本態性高血圧

本態性高血圧 高血圧の種類

本態性高血圧 高血圧の種類

高血圧の8~9割を締める

高血圧には、明らかな原因となる病気があるために起こるタイプがあり、これを 二次性高血圧といいます。 二次性高血圧 には、腎臓に異常があるために起こる 腎性高血圧 、腎臓の血管狭窄のために起こる 腎血管性高血圧 、ホルモン異常のために起こる 内分泌性高血圧 、太い動脈の異常のために起こる 大血管疾患 による 高血圧 などがあります。

これに対して、原因の見つからないタイプの 高血圧 を 本態性高血圧 といい、高血圧全体の8〜9割を占めています。ただ、現時点で原因が見つからないということであって、今後、原因がいくつか見つかる可能性があります。

いくつもの原因が複合的にからまって引き起こされる

本態性高血圧 は遺伝的素因のあるものに、日常生活でのストレスなどの環境因子が加わって起こります。

現在考、えられている説のうち、最も重要なものは、脳・中枢神経系の異常説です。脳・中枢神経系に何かの異常があるため、交感神経系が興奮しやすく、その結果、血管を収縮させたり、心拍数をふやして、血圧を上げるのではないかという考え方です。

本態性高血圧の人の尿や血液には、交感神経の興奮を呼び起こす カテコールアミン が多いことが、この説の根拠となっています。

一方、腎臓の機能が関係しているとの説もあります。塩分をたくさんとると血圧が上がることがありますが、なかでもほかの人にくらべて、とりわけナトリウムで血圧が高くなりやすい人がいます。

このような人は腎臓のナトリウム排泄機能に異常があるのだろうと考えられていlます。

また、血管の平滑筋の細胞膜に異常があり、細胞の中にナトリウムやカルシウムがふえたために血管を収縮させ、高血圧になるという説もあります。

このように、いろいろな説があるのですが、いまのところ、これという決定的なものはありません。おそらく、 本態性高血圧 はいくつかの原因がからまって起こっているのだろうと考えられています。

血圧と合併症の程度で重症度を判定する

本態性高血圧 の軽いものは、食生活や日常生活の注意だけで血圧をコントロールできる場合が多いのですが、程度が進むと、臓器や組織にいろいろな障害も出てきます。そのため、 高血圧 の重症度は血圧の高さだけでなく、臓器や組織の障害をあわせて判定します。

WHO の分類では三段階、東大3内科の分類では0が正常、1 〜2 は軽症、3は中等症、4 は重症というように五段階になっています。

また、東大3内科の場合、血圧の重症度も出ていますが、血圧の高さと臓器の障害の程度は必ずしも一致するとは限りません。高血圧の治療目的は、主要臓器の障害を少なくすることにあるので、いろいろな検査結果と、重症度を考えあわせたうえで、治療方針が決められるのです。