健診時には正常でも早朝、仕事中、夜間に高くなる 隠れ高血圧 は心臓の危険度が 4 倍 です。
自分では気づかないところで血圧が上昇している
自分の血圧をいつ、どこで測定していますか?測定したことがないという人もいるかもしれません。血圧のことなんて気にしたことがない人もいるかもしれません。
測定をするとすれば、おそらく、日中に行われる健康診断や、病院の診察で測定する時でしょう。そして、そのときの測定結果が正常だったからと安心してはいませんか。もし、そのときの血圧が正常だったとしても、あなたが高血圧ではないとはいいきれません。
なぜなら、血圧は1日の間に絶えず変動していて、健康診断や病院の診察で測定しただけでは、見逃してしまう高血圧が存在するからです。
本来、血圧は起床とともに上昇し、いったん低くなってから、昼ごろに上昇して比較的高い状態が続きます。そして夕方から就寝するまで下降し、就寝中は低い状態が続きます。途中、細かい上昇・下降はありますが、だいたいこのような大きな変動を毎日くり返しています。
ところが、このパターンに当てはまらない人がいます。
このような人は、高血圧であるにもかかわらず、病院での血圧測定では正常血圧になってしまうため、知らぬまに高血圧を悪化させてしまう危険があります。こうした高血圧のことを、隠された(正常の仮面をつけた)高血圧という意味から、「隠れ高血圧」(仮面高血圧)と呼んでいます。
仕事中も注意
隠れ高血圧には、大きく分けて
- 早朝高血圧
- 夜間高血圧
- 職場高血圧
の3タイプありそれぞれ特徴があります。
早朝高血圧
星間に血圧を測定すると正常なのに、朝、特に起床時に血圧が高いタイプ。早朝は正常な人でも血圧が高くなるが、極端に高くなる場合を早朝高血圧と呼ぶ。血圧の薬を服用している人で、早朝に薬の作用が低下してしまい、血圧が上がる場合もある。
夜間高血圧
本来血圧が下がるはずの睡眠中に下がらず、早朝まで高血圧の状態が続くタイプ。夜間高血圧の人は、本来、血圧の高い日中に加えて、睡眠中も高血圧状態が続くため、血管が常に高い血圧にさらされ、動脈硬化が起こりやすく、脳卒中や心筋梗塞を招く恐れがある。
職場高血圧
健診では正常なのに、仕事中の緊張やストレスが影響して、職場での血圧が高くなるタイプ。正常血圧の人の3~4割が職場高血圧といわれ、40~50mmHGも血圧が上がる場合もある。健康診断では血圧が正常なため、自分が高血圧だと気づいていない人が多く、放置して悪化させる危険性が高い。
最近、このような隠れ高血圧の人が増えつつあり、正常な血圧の人の10~15% 、降圧治療中の高血圧患者で血圧が正常にコントロールできていると思っている人のうち、約30% が隠れ高血圧であるといわれています。
要介護のリスクが12倍にもなる
隠れ高血圧は本人が気づきにくいため、放置されている場合が非常に多いのです。しかし、この病気の本当の恐ろしさは、狭心症や心臓病を起こしやすいというところにあり、長い間放置すれば、突然死の危険もあります。
隠れ高血圧で心臓病を起こす危険性は、一般的な高血圧(持続性高血圧)の人の場合、正常血圧の人の約3倍でしたが、隠れ高血圧の人はそれを上回り、約4倍という結果が出ています。
さらに、75歳以上の高齢者で、朝の血圧が就寝前よりも15mmHG以上高い人の場合、将来、要介護状態になる危険度が正常血圧の人に比べてなんと12倍も高くなることがわかっています。
現在、自分は高血圧とは無縁だと思っている人も、もしかしたらすでに隠れ高血圧に陥っているかもしれません。では、自分が隠れ高血圧かどうかを確かめるにはどうしたらいいのでしょうか。
医療機関での血圧測定は昼間がほとんどなので、隠れ高血圧を発見することは難しくなります。そこで、隠れ高血圧を発見するためには、家庭で血圧を測定する必要があるのです。