「漢方薬(症状別)」カテゴリーアーカイブ

高血圧を改善する漢方薬の本当の実力

中医学では、生命を支える大切な要素として「気」「血」「律液」の3つが挙げられる。「気」は、主に肉体の機能や働き、「血」は、血液をあらわしている。「律液」は、血液以外の体液のこと。

人間の健康は、これら「気(陽)」と「血・律液」(陰)のもとで初めて活性化され、全身を循環して五臓六腑に栄養を供給する。

この陰陽のバランスが整っていれば健康を保持できるが、陰陽のバランスが乱れてくると、体調不良、さらに病気になってしまう。

中医学では、体の五臓六腑のうち「肝」の陰陽バランスがくずれると、高血圧症になるとされている。「肝」の陰陽バランスが崩れて「肝陰」が不足してくると、相対的に「肝陽」が過剰になり、イライラしたり、起こりっぽくなったり、めまい、という症状がでてくる。これがいわゆる高血圧症の症状になる。
しかも「肝」は、精神状態と深く関係している器官でストレスが過剰にかかったりすると、さらに陰陽のバランスが乱れ症状が悪化する。

そこで、高血圧を改善するには、「肝陰」を補い「肝」の陰陽バランスを整えることが不可欠となる。

そもそも、「肝」の陰陽バランスの乱れや崩れは、「腎陰」の不足、「腎」の陰陽バランスの乱れが原因となっているから。
したがって高血圧を治療するためには、「腎」と「肝」両方の陰陽バランスを整えることが必要。

そのような効果のある薬としては、杞菊地黄丸(こぎくじおうがんが挙げられる。これは、六味地黄丸(ろくみじおうがん)に菊花、とくこを加えたものになる。
六味地黄丸(ろくみじおうがん)は、「腎陰」の不足を治す処方で、一方、菊花とくこは、「肝陰」の不足を改善する生薬。これを時間をかけて根気よく飲み続けることで、「腎」と「肝」両方の陰陽バランスの安定をはかる。

頭痛や、肩こり、目の充血など、高血圧に伴う諸症状を改善するためには、釣藤散(ちょうとうさん)、七物降下湯(しちもつこうかとう)などが有効。
イライラなどがひどい場合には、柴胡加龍骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぽつれいとう)または、抑肝散(よくかんさん)が効果的。

また、中高年の高血圧で特にイライラが原因で不眠になったりのぼせるような人には、知柏壮健丸 (ちぱくそうけんがん)も効果的。

中医学では、高血圧の原因は、その人の内部にあると考え、根本的な原因は、老化や慢性疾患、食生活の乱れからくる「腎陰」の不足としている。
動脈硬化の改善は、不可能だというが、腎陰のバランスを整えれば改善することが可能。硬くなった血管も若返り、軟らかくなると考える。

汗かきでのぼせやすくイライラする人に

漢方医学では、まず全身の調和を整えることに主眼をおいて治療していく。症状も大切だが、体全体が健康になるよう処方する。
血圧の安定化は、その治療の結果によるもの。黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、体に偏在する熱を冷ますことによって血圧を下げる漢方薬。汗かきで、顔が赤らんでいて、のぼせやすい、さらにイライラして眠れない、鼻血が出たり、目が充血するなどこうした傾向はを伴う高血圧は、まず体内の余分な熱をとり除くことが治療の基本となる。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を構成している黄連(おうれん)、黄ごん、黄柏(おうぱく)、山梔子(さんしし)の4つの生薬すべてが解毒の薬効をもっている。
そのため、黄連解毒湯は、赤ら顔でのぼせやすい体質の人に用いられる。

便秘気味で肩こりや腹痛の症状があるときは大柴胡湯(だいさいことう)

肝臓は、外から入ってきた体にとって有害物質や体内で生成された毒素を解毒する働きを担う臓器。肝臓が弱ったり、病気になり解毒作用が正常に行えない場合、毒素は体内を巡って体の至るところに影響を及ぼしてしまう。

肝臓の障害によって引き起こされる高血圧もある。大柴胡湯(だいさいことう)は、日頃、便秘気味で、頑固な肩こり、頭痛を伴う高血圧に効果的な漢方薬。

体力があり、体格もしっかりしており、口が渇く、吐き気がする、みぞおちの両側にかけて押すと息がつまるような抵抗感がある人に最適。

大柴胡湯(だいさいことう)は、柴胡(さいこ)、半夏(はんげ)、生姜(しょうきょう)、黄芩(おうごん)、芍薬(しゃくやく) 、大棗(たいそう)、枳実(きじつ)、大黄(だいおう)の8種類で、このうち柴胡(さいこ)と黄芩(おうごん)には、解熱作用があり、息がつまるような抵抗感と痛みを取り除いてくれます。枳実(きじつ)は消化を助け、芍薬(しゃくやく) と強力して、胃腸の調子を整えます。半夏(はんげ)と生姜(しょうきょう)は、吐き気を抑え、大黄(だいおう)には、便秘を改善する効果があります。